慶大理工数学'08[B1]

nは正の整数とする。
(1)  ヘ である。
以下でpqrは正の実数とする。とおく。
(2) すべてのnに対しであることを証明しなさい。
(3) 極限0でない有限の値となるのは、rpの間に関係式 ホ が成り立つときのみである。そのときの極限値をpを用いてあらわせば マ である。さらに0でない有限の値となるのは、pqの間に関係式 ミ が成り立つときに限る。
(4) すべてのnに対しが成り立つための必要十分条件は、かつであることを証明しなさい。

解答 2008年は、江戸時代の和算研究家、関孝和の没後300年に当たります。1712年、関孝和の死後出版された「括要算法」という本に、本問のnの式で表したときの係数の記述があるのだそうです。1713年に出版された、スイス人数学者、ヤコブ・ベルヌーイの確率論の本には、 ()の係数は、 (はベルヌーイ数と言い、,・・・)と表されると書いてあり、これと実質的に同じ結果が「括要算法」にも載っているそうです。全く同時期に、鎖国をしていた日本とヨーロッパとで同じ結果を出していたのが凄いと思いますが、本問は関孝和没後300年にちなんだ問題なのでしょうか。

(1)()  (区分求積法を参照)
......[]

(2)
数学的帰納法で証明します。
のとき、
よって、成り立ちます。
のとき、が成り立つと仮定します。
両辺に、を加えると、
よって、のときも成り立ちます。
以上より、が成り立ちます。 (証明終)

(3) n2次式、n3次式、n4次式なので、n次式で、最高次の係数はだろうということは予測がつきます。これで、()()と埋めることができます。
() ここでは、(1)と同様の計算をして確かめておくことにします。

 (数列の極限を参照)
これは、のときに発散し、のときに0に収束します。
極限
0でない有限の値となるのは、 ......[] のときで、
() その極限値は、 ......[]
() 
これは、のときに発散し、のときに0に収束します。
0でない有限の値となるのは、 ......[] のときです。
pが自然数であれば、連続p整数の積のn項の和:を考えることもできます。
 (Σの中を差の形にした)
 (数列の求和技法を参照)
と見ると、nの多項式で表すとき、最高次の項は、の最高次の項に一致することがわかります。
ここからも、この
(3)を考えることができます。

(4) “すべてのnに対しが成り立つ” かつ
(2)により、は示されています。
を示します。
のとき、
(3)より、は有限な値となります。

は、のときに限り0以外の有限な値に収束して、

よって、
より、
より、
以上より、すべての
nに対しが成り立つための必要十分条件は、かつです。 (証明終)

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