数学的帰納法   関連問題


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自然数nについて成り立つ命題Qがある。
(T) のときにQが成り立つことを示す。
(U) のときにQが成り立つと仮定すると、のときにもQが成り立つことを示す。
(T)(U)をともに示すことにより、命題Qがすべての自然数nについて成り立つことが証明できる。この証明法を数学的帰納法という。

ABC自動車会社に就職した太郎クンは営業部に配属され、自動車のセールスの仕事をすることになりました。
自動車の展示場で、自動車をのぞき見している人に、「うちの自動車、いいでしょ。一台、いかがですか?」と軽いノリで声をかけました。でも買ってくれません。同じような感じで声をかけ続けましたが、一台も売れません。
あるお客さんに、「ハンドルちょっとさわってみませんか」と声をかけて、運転席に座らせ、中の機械の操作の説明をしたところが、このお客さんは自動車を買っていきました。次のお客さんも、運転席に座らせて、機械の操作を説明すると、また一台売れました。
太郎クン、ああ、そうか、お客に実際に触らせて、機械の操作を説明すると売れるんだ、と気付いて、営業部で成績トップのセールスマンになりました。
こういう感じで、一人のお客さんに自動車を売ったという具体的な事実から、「触らせて、機械の説明をすると売れる」という一つの命題を導き出すことを、
帰納法と言います。

これに対して、営業研修などで、営業部長が、
ただ、うちのクルマはいいクルマだとがなりたててもお客さんは買ってくれませんよ、お客さんの目線に合わせて、お客さんがその自動車を運転したらどんなに快適かというイメージを抱かせるのが、自動車を売るコツなんです。
と、セールスマンに説明して、太郎クンが言われたとおりに、お客さんの対応をして、実際に自動車が売れたとします。
このように、はじめに、「客の目線に立て」という命題があって、それを具体的な事実に適用していくことを、
演繹法と言います。

惑星に関する膨大な観測データからケプラーの
3法則を導いたのは、帰納法です。
ニュートンの運動の
3法則から天体の運動の予測を立てるのは、演繹法です。

整数に関する命題があるときに、
1から順番に全ての整数について調べてその命題が正しいことを帰納的に証明する場合に、上記のように、ある2つの事実(T)(U)を示すだけで、全ての整数に関して調べたことと同等になる、ということを利用した証明法が、数学的帰納法です。

例.命題:
nを自然数として、 を数学的帰納法を用いて証明する。
(T) のとき、だから命題は成り立つ。
(U) のとき、命題が成り立つと仮定すると、が成り立つ。
 両辺に、を加えると、
 よって、のときにも命題は成り立つ。

(T)(U)より、すべての自然数nに対して、が成り立つ。 (証明終)

上の例は、までの奇数の和が平方数になることを証明する例です。
まず、
(T)で自然数n1のときについて、調べています。このときの奇数の和は、1しかないから1になります。一方、より12乗を求めると1だから、のとき命題は成り立つことになります。
(U)では、証明すべき命題のnにある自然数kを代入したときに成り立つと仮定すると、次の自然数nに代入しても成り立つことを示しています。
この
kだとして、のときには(T)により命題は証明されているから、(U)よりのときにも命題の成り立つことが言えます。 ・・・(V)
このkだとして、のときには(V)により命題は証明されているから、(U)よりのときにも命題の成り立つことが言えます。 ・・・(W)
さらに(W)よりのときにも命題が成り立つ、のときにも命題が成り立つ、ということを繰り返せば、すべての自然数について命題の成り立つことが示せます。
結局、何を示しておけば証明したことになるかと言うと、
(T)(U)2つのことを示しておけばすべての自然数について命題が成り立つことを示したことになるのです。

数学的帰納法による証明にはいくつかの変形があります。
1つめは、のすべてについて命題が成り立つとしないと、に対する命題が証明できないタイプ。1番目が成り立てば2番目が成り立つ、1番目と2番目が成り立てば3番目が成り立つ、1番目と2番目と3番目が成り立てば4番目が成り立つ、・・・、という具合にして、すべての自然数について命題が成り立つことが証明できるものです。以下のようなストーリーになります。
 
(T) のときに命題が成り立つことを示す。
 
(U) のときに命題が成り立つと仮定すれば、のときにも命題が成り立つことを示す。
 
(T)(U)より、すべての自然数nについて命題が成り立つ。

・もう
1つは、前2つについて命題が成り立てば、その次が成り立つことが証明できるタイプ。1番目と2番目が成り立てば3番目が成り立つ。2番目と3番目が成り立てば4番目が成り立つ。・・・。という具合にして、すべての自然数について命題が成り立つことが証明できます。
 
(T) のときに命題が成り立つことを示す。
 
(U) のときに命題が成り立つことを示す。
 
(V) のときに命題が成り立つと仮定するとのときにも命題が成り立つことを示す。
 
(T)(U)(V)より、すべての自然数について命題が成り立つ。



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