東大物理'13年前期[2]

電荷をもった粒子の運動を磁場により制御することを考える。重力の効果は無視できるものとして、以下の設問に答えよ。ただし、角度の単位はすべてラジアンとする。また、θ を微小な角度とするとき、と近似してよい。

T 図21のように、の領域にのみ、磁束密度がy座標にゆるやかに依存する磁場がz軸方向(紙面に垂直、手前向きを正)にかけられている。質量m,正の電荷qをもつ粒子Pを、x軸正方向に速さvで領域に入射する。
(1) 領域を通過した結果、粒子Pの運動方向が微小な角度だけ曲がり、そのx軸からの角度がθ となった。領域内を通過する間、粒子のy座標の変化は小さく、粒子に働く磁束密度Bはその間一定としてよいとする。このときのθ を求めよ。以後、角度の向きは図21の矢印の向きを正とする。
(2) 領域内の磁束密度がy座標に比例し、正の定数bを用いてと表されるとき、粒子Pは入射時のy座標によらずx軸上の同じ点を通過する。このときf を求めよ。ただし、df に比べて無視できるほど小さいとする。また、領域内を通過する間、粒子のy座標の変化は小さく、粒子に働く磁束密度Bはその間一定としてよいとする。
(3) 22(a)のように配置された電磁石の組の点線で囲まれた範囲(拡大図と座標を図22(b)に示す)を考える。鉄芯(しん)を適切な形に制作すると、の平面内で(2)のような磁場が実現できる。このとき、二つの電磁石に流す電流の向きはどうするべきか。それぞの符号を答えよ。ただし、図中の矢印の向きを正とする。

U 次に、T(2)の領域に加えて、図23のように、を中心とし幅dの範囲に、z軸方向に磁束密度 (kは定数)の磁場がかかっている領域を考える。ここで、領域を両方通過した後の粒子の運動方向の変化は、それぞれの領域でT(1)のように求めた曲げ角の和として計算できるものとし、またdf に比べて無視できるほど小さいとしてよいとする。粒子Pと、同じ電荷qをもつ別の粒子Qとが、x軸正方向に速さvをもってで領域に別個に入射したところ、粒子Pの運動方向が微小な角度,粒子Qの運動方向が角度だけ曲げられて、それぞれ領域に入射した。
(1) 粒子Qの質量を求めよ。
(2) 粒子P,粒子Qが領域に入る際のy座標は、それぞれの何倍となるか。
(3) 粒子P,粒子Qが領域を通過した後の運動方向のx軸からの角度を、それぞれkを用いて表せ。
(4) kの値を調整すると、粒子Pと粒子Qx軸上のの同じ点を通過するようにできる。このときのkの値を求めよ。

解答 最後は単に計算するだけの問題になってしまいますが、磁気に関する基本問題です。

T(1) 粒子Pの運動方向を左手中指、磁場の向きを人差し指、とすると左手親指(電磁力の向き)y軸負方向を向きます(フレミング左手の法則を参照)。粒子Pには、y軸負方向に大きさが働きます。粒子Pが領域を通過する時間なので、粒子Pは領域を通過する間にy軸負方向に大きさ力積を受けます。粒子Py軸方向の運動量の変化は、領域から出てくるときの速度y成分をとしてです。運動量の原理より、
 ∴
粒子Pが領域から出てくるときの速度x成分はvなので、
より、 ......[]
(2) 粒子Pの入射位置のy座標として、
より、
......[]
このf は、に依存せず、粒子Pが領域に進入するときのによらず、粒子Px軸上の同じ点を通ります。
(3) 22(b)の断面図において、(2)と同様の磁場(の部分にz軸正方向、の部分にz軸負方向を向く磁場)を実現するためには、左側の鉄芯の上側をN極、下側をS極、右側の鉄芯の上側をS極、下側をN極とすればよいわけです。
右ねじの法則より、左側には,右側にはとなる電流を流すことになります。
:正、:負
......[]

U(1) 粒子P角度について、における磁束密度とT(1)より
粒子Q質量として、粒子のQ角度について、
......[]
(2) 粒子P,粒子Qが領域に入る際のy座標とすると、として、
P倍,Q ......[]
(3) 粒子Pが領域を通過した後の運動方向のx軸からの角度は、Tのθ として、
......[]
粒子Qが領域を通過した後の運動方向のx軸からの角度は、Tのθ として、
......[]
(4) 粒子Pの運動方向がx軸と交わる位置ととの距離は、
粒子Qの運動方向がx軸と交わる位置ととの距離は、
両者が一致することから、
......[]


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