東工大物理'03年前期[2]

 図のように、方向を向いている磁界の磁束密度の大きさBが、xy平面ででは (定数)、それ以外ではとなっている空間がある。この空間に底辺の長さが,高さがaであるような直角二等辺三角形DEF(頂点Dが直角)1回巻きコイルLを、そのコイル面がxy平面と一致するように置く。そして図のように線分EFの中点から頂点Dに向かう方向がx軸と一致するようにして、方向に一定の速さvで移動させる。なお、コイルの抵抗をRとし、導線の太さは無視する。設問(a)(d)では、コイルの自己インダクタンスは無視するものとする。また、時刻では頂点Dにある。
(a) 下記の枠内に入る式を答えよ。
コイルLを貫く磁束Fは、方向を正としてではとなり、ではとなる。では、時刻tから微小時間だけ経過してになったときの磁束の変化量となる。このときの項に比較しての項が小さいとして無視すれば、コイルに誘起される誘導起電力は、DEFDに沿って発生する起電力を正としてと表すことができる。同様にして、での誘導起電力はとなる。
(b) でコイルLに流れる電流Iの変化を解答欄のグラフに示せ。この問での電流Iの大きさの最大値を求めよ。ただし、DEFDに沿って流れる電流の向きを正とせよ。
(c) でコイルLがジュール熱として消費している電力Pを、時刻tの関数として表せ。
(d) コイルLを一定の速さvで移動させるために外から加えている力Fを、で時刻tの関数として求めよ。ただし、方向に加えている力を正とする。またでコイルLに加えている力Fを、方向を正として解答欄のグラフにおおよその形を示せ。
(e) つぎに、コイルLの自己インダクタンスが無視できない場合を考える。のときの電流の大きさは、同じ時刻tで比較した場合、上記(b)で調べた電流の大きさよりも大きくなるか、小さくなるか、あるいは変わらないかを答えよ。またそのように考えた理由を50字以内で記せ。

解答 磁気に関する基本的な出題です。フレミング左手の法則電磁誘導の法則レンツの法則を参照してください。
下記では、
(a)Bで近似前の式も問われているので、Cでを無視するように解答しましたが、これは、実質的ににおいて、という操作を行うのと同じ操作であって、微分する()のと同じです。Dでは、微分して解答しました。

(a)@ コイル中で磁束が通過する部分の面積Sとします。におけるコイルの状況(t秒後)を右上図に示します。
このとき、
......[]
A におけるコイルの状況(t秒後)を右下図に示します。
このときコイル中で磁束が通過する部分の面積は、

......[]
B において、
......[]
C を無視し、電磁誘導の法則を用いると、
......[] (レンツの法則により、起電力はコイルを貫く磁界を弱める向きで負です)
D において、
レンツの法則より、起電力は正だから、
......[]

(b) において、 (電流・オームの法則を参照)
において、
電流の変化のグラフは右図。
グラフより、
電流の大きさの最大値: (のとき) ......[]

(c) において、 ......[]

(d) において、磁界がDEFDに及ぼすは、フレミング左手の法則によりx軸方向から反時計回りに、それぞれ、の方向を向きます。その合力x軸負方向を向き、その大きさfDEに働く倍です。また、磁界中に存在するDEFDの部分の長さは、各々、です。コイルに働くの大きさfは、
コイルには、コイルを等速度運動させるために、これとつり合う外力が加える必要があります(力のつり合いを参照)
コイルに加える
外力x軸正方向を向き、
......[]
において、DEFD(磁界中に存在する部分の長さは、各々、)に働くはフレミング左手の法則によりx軸に対して
反時計回りにの方向で、その
合力x軸正方向を向き、大きさDEに働く倍で、
EFに働くx軸負方向を向き、大きさは、
外力は、
Fのグラフは右図。

(e) 電流の大きさは小さくなる。 ......[]
(理由) レンツの法則により、コイルには電流の増大を妨げる向きの起電力が加わるから。 ......[]


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