東工大物理'02年前期[3]

 質量mの小球の両側に自然長がのゴムひも1のゴムひも2の一端をつなぎ、図のようにこの小球を水平に置かれた長さLの真っ直ぐなレールの上に置く。2本のゴムひもの他端は、レールの両端に固定された支柱につないだ。このときいずれのゴムひもも自然長よりも伸びていた。ゴムひもを自然長から引き伸ばすとに比例する復元力が働く。復元力の比例定数は、ゴムひも1ではk,ゴムひも2ではである。図のようにつりあいの位置をx軸の原点とし、ゴムひも2のある右方向をx軸の正の向きとして小球の位置をxで表すものとする。なお、小球は、レールの上を摩擦なく運動するものとし、たるんだゴムひもにより運動が妨げられることはないものとする。また、ゴムひもの質量は無視できるものとする。

[A] 小球が原点にある場合について考える。
(a) ゴムひも12のそれぞれの自然長からの伸びを求めよ。

[B] 小球をxまで変位させたとき小球が2本のゴムひもから受ける合力Fを考える。なお、力Fの符号は、x軸の向きと同様に右向きを正とする。
(b) Fxの関係を表すグラフをの領域について示せ。なお、この範囲の変位では、小球は支柱にぶつからないものとする。また、答案用紙のグラフでは、変位と力の単位をそれぞれとして表していることに注意せよ。また、特徴的な点の座標については、その数値をグラフ中に記入せよ。

[C] 小球を ()で静かに放した場合の小球の運動を考える。
(c) 小球の加速度をaとして小球に対する運動方程式を導き、運動の周期Tを求めよ。なお、加速度aの符号は、x軸の向きと同様に右向きを正とする。

[D] 小球をで静かに放した場合の小球の運動について以下の問いに答えよ。なお、以下の問いでは、必要な場合には、を用いて解答せよ。
(d) 小球がx軸の負の領域にある場合に、変位の絶対値が最大となる小球の座標を求めよ。
(e) 以上の考察にもとづいて次の文章中の@からFの  に当てはまる適当な式、または、数値を解答欄に記入せよ。
小球はx @ の領域では、x A を中心とする振幅 B で周期T C の単振動の一部となる運動をする。また、x @ の領域では、x D を中心とする振幅 E ,周期T= F の単振動の一部となる運動をする。全体として両者が、x @ で滑らかに接続されたものとなる。

解答 [A](a) つり合いの位置で小球に働くは、x軸正方向にゴムひも2張力x軸負方向にゴムひも1張力,この2力のつり合いより、 ・・・@
ゴムひもの長さについて、 ・・・A
@より、,Aに代入して、
......[]

[B](b) では、ゴムひも2はたるみます。では、ゴムひも1がたるみます。従って、3つの領域で分けて考える必要があります。
(i) のとき、ゴムひも2はたるみ、ゴムひも1伸びです。たるんだゴムひも2を及ぼさず。ゴムひも1張力x軸負方向を向きます。よって、
(ii) のとき、ゴムひも1の伸びは,ゴムひも2伸びです。ゴムひも1張力x軸負方向、ゴムひも2張力x軸正方向を向きます。よって、
(iii) のとき、ゴムひも1はたるみ、ゴムひも2伸びです。ゴムひも2張力x軸正方向を向きます。よって、

のとき、のとき、のとき、のとき、
以上より、
Fxの関係を表すグラフは右図。

[C](c) 小球を ()で静かに放した場合、放した直後においては、小球はの領域にいるので、[B](b)(ii)より、小球にはというが働きます。よって、小球の運動方程式は、

これは、角振動数単振動を表します。振動中心で、で放しているので振幅となり、の範囲で単振動します。この範囲は、[B](b)(ii)の範囲に完全に含まれるので、求める運動の周期は、 ......[]

[D](d) 小球の位置にある間は、[B](b)(i)より、小球に働くで、運動方程式は、

これは、角振動数単振動を表します。このときの周期です。振動中心で、で放しているので振幅となります。小球がx軸負方向に向かって動いていくと、の範囲から出てしまいます。
小球はで静かに放したとき、
位置エネルギーを持っています。
まで来たときには、ゴムひも
1伸びとなり、位置エネルギー
従って、このときの
運動エネルギーは、力学的エネルギー保存より、


の範囲においては、[C](c)で見たように、小球は、振動中心とする角振動数単振動を行います。周期です。
に来たときの
位置エネルギーは、[B](b)(ii)よりばね定数をと考えて、となります。
運動エネルギーのまま変わらないので、このとき全力学的エネルギーは、
小球が仮にまで来たとすると、位置エネルギーとなりますが、を超えてしまうので、小球はに到達できません。
において
変位の絶対値が最大となるとき()振動中心からの距離です。このときの位置エネルギーは、,このとき運動エネルギー0 (一瞬静止する)なので、力学的エネルギー保存より、
より、
......[]
つまり、このときの単振動の振幅です。

(e) 上記の考察より、
小球はx ......@ の領域では、x ......A 中心とする振幅 ......B 周期T ......C の単振動の一部となる運動をする。また、x ......@ の領域では、x 0 ......D 中心とする振幅 .....E,周期 ......F の単振動の一部となる運動をする。全体として両者が、x ......@ で滑らかに接続されたものとなる。


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