京大物理'10[3]

次の文を読んで、  には適した式または数値を、{  }からは適切なものを選びその番号を、それぞれの解答欄に記入せよ。なお、  はすでに  で与えられたものと同じものを表す。また、問1〜問3では、指示にしたがって、解答をそれぞれの解答欄に記入せよ。

1に示すように、一端に振動板(スピーカー)を取り付けた円筒形の透明な容器に、ふたをして空気を密閉し、水平に置いた。ふたは、容器内の気圧が外気圧と等しくなるように水平方向(1x軸方向)に動くが、音波によって振動することはないとする。また、この容器の内壁には、はじめ、軽い粉が水平方向に一様に薄く置かれている。容器内の空気は理想気体であるとする。
まず、容器内の空気の絶対温度をにした。このとき、気柱の長さ
(振動板からふたまでの距離)になった。この状態で、振動板から単一振動数の音を発し、その振動数を変化させていったところ、振動数がfのとき、図1に示すように容器内の3ヶ所(うち1ヶ所は振動板近傍)に等間隔に粉が集まり、気柱が共鳴を起こしていることがわかった。なお、図1x軸は、気柱の左端を原点()とした気柱の水平方向の座標軸であり、目盛りはの間隔で付けてある。

1 粉の集まりの中心の位置(振動板の近傍の集まりについては、振動板の位置)は、3ヶ所とも共鳴の定常波の腹の位置である可能性と、3ヶ所とも節の位置である可能性がある。また、この気柱の右端のふたは固定端であると考えてよいとする。気柱に生じた定常波による、ある時刻における各xでの空気の変位yを、解答用紙のグラフに記入せよ。なお、グラフ中の破線は、その時刻における腹の位置での空気の変位を示す。空気の変位yx軸の正の向きを正とする。

気柱の共鳴音波の波長および気柱内の音速は、fを用いて、それぞれ あ  い と表される。なお、この気柱が共鳴を起こす最も低い振動数はfを用いて う と表される。
気柱に定常波がある場合の、気柱の各点での空気の変位と空気の密度との間の関係を考えよう。定常波がない場合に、位置
x (は正の微小量)の間の筒状の領域を筒領域Tと呼ぶ(2参照)。定常波がある場合に、位置xにおける空気の変位をy,位置における空気の変位をとすると、筒領域T内にあった空気は位置 え  お の間の筒領域Uに移動する。したがって、この2つの筒領域の空気の密度の比は、を用いて
 か 
と表される。したがって、問1のグラフの曲線の{き:@ yが最大 A yが最小 B 傾きが最大 C 傾きが最小}の位置xが空気の密度が最小になる位置である。

2 問1のグラフのx軸上に、問1で考えた時刻における空気の密度が最大となる位置のすべてに○印を、空気の密度が最小となるすべてに×印を記入せよ。ただし、気柱の端点は除く。

次に、振動数fの音を振動板から発しながら、この容器内の空気の絶対温度をから上げていくと、容器のふたが水平方向に動いていき、気柱の長さがになった。このとき、気柱に再び共鳴が起こり、こんどは容器内の4ヶ所(うち1ヶ所は振動板近傍)に等間隔に粉が集まった。このときの、気柱の共鳴音波の波長は、を用いて く と表される。また、容器内の空気の絶対温度を用いて表すと け である。
仮に、空気中の音速が温度によらず一定であれば、
2つの波長は等しいので、 こ (数値)であり、絶対温度を用いて さ と表される。
しかし、実際には、空気中の音速は温度によって変化し、絶対温度
Tにおける音速V
 ・・・・・・(1)
と表される。およびbは正の定数である。温度が高くなると音速は大きくなるので、比は、音速が一定の場合の値 こ {し:@ より大きくなる A と同じである B より小さくなる}

3 上の実験における測定値fのみを用いて、式(1)の定数bを表せ。ただし、導出の過程も示せ。

解答 東大10[3]と同じく、クントの実験の問題です。節・腹の考え方は、問1の問題文中で指定されています。この指定に即して考えます。

1 粉の集まりの位置3ヶ所が腹になります。ふたの位置(固定端)と腹と腹の中間点で節になります。
ある時刻における各xでの空気の変位yのグラフは右図のようになります。
注.右図とx軸に関して対称なグラフでもOKです。ただし、問2の答が違ってきます。

() 気柱の長さ波長倍に相当します。つまり、,よって、
......[]
() 波の公式より、
......[]
() 共鳴を起こす最も低い振動数とは、基本振動数のことです。基本振動では、右端が固定端で節、左端が腹になるので、波長より、
......[]
() 位置xにあった空気分子は、位置xからx軸正方向にyだけ変位しているので、
......[]
() 位置にあった空気分子は、位置からx軸正方向にだけ変位しているので、
......[]
() 筒領域T内にあった空気の質量mとして、定常波がないときの筒領域Tの体積なので、その密度
定常波があるときの筒領域Uの体積なので、その密度
......[]
() ()の結果より、空気の密度が最小になる位置は、が最大になる位置です。つまり、問1のグラフの接線の傾きが最大になる位置です。
B ......[]

2 空気の密度が最大となる位置は、が最小になる位置で、問1のグラフの接線の傾きが負であってかつその絶対値が最大となる位置です。空気の密度が最小になる位置は、グラフの接線の傾きが正であってかつ最大となる位置です。よって、空気の密度が最大・最小になる位置は右図の○と×。
注.問1で右図を反転させたグラフを描いた場合には、○と×の位置が入れ替わります。

() 絶対温度になったとき、振動板位置を含めて4ヶ所が腹、ふたの位置が節なので、気柱の長さに相当し、
......[]
() 絶対温度からに変化するまでの間、ふたに働く力のつり合いが成立しているので、容器内の気体は定圧変化をします。シャルルの法則より、
......[]
() ()の結果より、絶対温度のときの音速は、
のときなので、()()の結果を用いて、
......[]
() ()()の結果より、
......[]
() のときにとなるのであれば、であり、

@ ......[]

3 (1)式でのときより、
 ・・・(2)
(1)式でのときより、
 ・・・(3)
(2)(3)より、
......[]
(2)
に代入すると、
......[]


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