新潟大物理'10[4]

[1] 図のような、シリンダーとピストンからなる装置がある。シリンダー内に閉じ込めた気体には熱を与えることができる。ある気体をこのシリンダー内に閉じ込めて、この気体の性質を調べる。
ここで、閉じ込めた気体は単原子分子気体ではなく、その物質量も不明である。この気体は理想気体の状態方程式に従い、また、気体の内部エネルギーは気体の温度に対して
という比例関係を満たすことがわかっている。Cは比例定数である。以下の問いに答えよ。
まず、ピストンを固定した状態で気体に熱を与える。熱を与える前の温度がであり、気体にの熱量を与えたあと、気体の温度はに上昇した。

1 比例定数Cの値を有効数字2桁で求めよ。

次に、気体の圧力を一定値に保ちながらピストンがなめらかに動くようにする。気体の温度をにすると、体積はとなった。この状態の気体に熱量を与えると、気体は膨張し温度はになった。

2 このときの気体の温度変化
となることを導け。
3 この気体の定圧モル比熱と定積モル比熱の比の値を有効数字2桁で求めよ。なお、計算の過程も示せ。

[2] 図1のように、上端がふさがり下端は開いている円筒型の容器を密度,温度の液体に浸し、質量と体積が無視できる糸でつり下げて重量を測定したところ、重量計はを指した。次に、図2のように、この容器に物質量,温度の理想気体を入れてつり下げ、重量計がを指す位置に容器を静止させた。このときの、液体表面から容器内の液体と気体の境界面までの深さを,境界面から容器上面までの長さを,容器内の気体の圧力をとする。また、円筒容器の断面積はであり、気体定数を,重力加速度をとする。ただし、円筒容器は傾くことはなく、気体と液体および容器はつねに熱平衡を保ち、それらの温度は等しい。また、気体の質量は無視できるものとし、液体と容器は温度によって膨張収縮することはなく、液体表面に加わる大気圧も変化しないものとする。

1 以下の問いに、MnRTSgのうち必要なものを用いて答えよ。
(1) lを求めよ。
(2) pを求めよ。
2 温度をTからに上昇させ(),この場合に重量計がを指すように円筒容器の位置を変化させた。このとき、境界面の深さは,容器内の気体の圧力はであった。以下の問いに、MnRTSgのうち必要なものを用いて答えよ。
(1) の関係を求めよ。
(2) の関係を求めよ。また、温度がのときに重量計がを指す容器の位置は、温度Tのときよりも上か下かを答えよ。


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解答 浮力を考える[2]は、温度を変化させたときに容器内の気体の高さが変化しないことに気づかないとヒドイ目にあいます。

[1] ピストンを固定しているので、を与える前後での気体の変化は定積変化です。
1 定積変化なので気体は仕事をせず、気体の内部エネルギーの変化をとして、熱力学第1法則より、
問題文中のより、
......[]

2 今度は、気体の変化は定圧変化です。気体のモル数を,変化後の気体の体積とします。
を与える前の状態方程式 ・・・@
を与えた後の状態方程式 ・・・A
A−@より、
気体がした仕事は、
@より、,これを代入して、
内部エネルギーの変化は、問題文中のより、
熱力学第1法則より、

3 定積モル比熱Cの間には、という関係があります(モル比熱を参照)
定圧モル比熱の式と問2の結果を用いて、
これより、
......[]

[2] 図1において、重量計がを指していた、ということは、円筒容器に働く重力だということです。
2の円筒容器内の境界面の高さでの液体の圧力は、容器内の気体の圧力に等しくなります。容器外でのこの高さの液体断面の面積とすると、この断面を上向きに押す,下向きに押すは、この断面上部の液体(体積)に働く重力を考えてです。両者の力のつり合いより、
 ・・・B
なお、
[2]では問1、問2とも、hlが最終解答に使えないことに注意してください。
1(1) 2では、重量計がを指していますが、円筒容器に働く上向きの張力が、下向きの重力以外に働きます。
円筒容器内の気体の体積です。円筒容器に上向きに働く浮力と、容器に働く張力重力の差とを考えて、力のつり合いは、
 ・・・C
......[]
(2) 2の円筒容器内の気体の状態方程式 ・・・D
(1)の結果を代入して、
......[]

2 温度になったときも、重量計の指す値はのまま変わらないので、円筒容器に働く力のつり合いは問1Cと変化せず、円筒容器に働く浮力のままで、容器内の境界面から容器上面までの長さも変化しません。
(1) 温度になったときの円筒容器内の気体の状態方程式
 ・・・E
E−Dより、
1(1)の結果を代入して、
......[]
(2) Bと同様にして、円筒容器内の気体の圧力になったときに、境界面の深さになったとして、
 ・・・F
F−Bより、
2(1)の結果より、
......[]
のときはですが、境界面から円筒容器上面までの長さが変化しないので、温度のときの円筒容器の位置は温度Tのときよりも下 ......[] です。


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