東大理系数学'08年前期[5]
自然数nに対し、をで表す。たとえば,,である。
(1) mを0以上の整数とする。はで割り切れるが、では割り切れないことを示せ。 (2) nが27で割り切れることが、が27で割り切れるための必要十分条件であることを示せ。
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解答 今年の問題の中では一番頭を使う問題です。参考書の受験技巧をマスターしているだけでは歯が立ちません。試験会場での勇気と構想力が必要です。出題者の情熱が伝わってくる問題で、東大を志望する人は必ず考えてみて頂きたい。なお、整数を参照。
(1) こういうタイプの問題では、数値代入して、問題のカラクリをつかむことから始めます。
のとき、 は、で割り切れるが、では割り切れません。・・・(*)のとき、 ・・・@ ・・・A は、で割り切れるが、では割り切れません。mのときに、のときの項が出てくるので、数学的帰納法を利用するという方針が立ちます。あとは、の形をしているところが3で割り切れるが9では割り切れないことを示せばよい、ということになります。
自然数nに対して、は9の倍数なので、pを自然数として、と置くことができます。
従って、2つの自然数m,nに対して、a,bを自然数として、 は、3で割り切れるが9では割り切れません。・・・(**)
数学的帰納法により、題意を示します。
(T) のとき、(*)より、題意は成立します。 (U) のとき、題意が成立するとして、は、で割り切れるが、では割り切れない、と、仮定します。 のとき、 (**)より、これは、で割り切れるが、では割り切れません。(T),(U)より、題意が示されました。
(2) 「nが27で割り切れる ⇒ が27で割り切れる」はすぐに言えます(下記)が、逆がなかなか言えません。 ,,・・・ が、27で割れるかどうか確かめてみよう、ということになりますが、27で割り切れない数を2個足すと27で割り切れるということがあり得るので、9で割れるか調べてみます。 ÷9=1÷9=0あまり1÷9=11÷9=1あまり2÷9=111÷9=12あまり3÷9=1111÷9=123あまり4÷9=11111÷9=1234あまり5÷9=111111÷9=12345あまり6÷9=1111111÷9=123456あまり7÷9=11111111÷9=1234567あまり8 規則性があってキレイだなあ、などと、感心している場合ではありません。ずっとやると疲れるので、やめます。
これで、〜は、9では割り切れないことがわかりました。(1)で、は、9では割り切れるが、27で割り切れないことが示されています。
として、を調べます。 @より、 ・・・B と書けるので、 第1項は9の倍数ですが、は上記のように9の倍数ではなく、は9で割り切れません(27で割り切れない2数の和は、27で割り切れない、とは言えないことに注意。これが、最初に9で割った理由です)。
Bを用いて、 は9の倍数ですが27の倍数ではなく、は3の倍数ではなく、は9では割り切れるが、27では割り切れません。
として、を調べます。Bを使って、 9の倍数と9の倍数でないものの和の形なので、は9で割り切れません。
これで、〜が27で割り切れないことがわかりました。mを自然数として、Aより、と書けるので、 (のの項を中カッコ内から外に出して、をくくりだした) (二項定理を参照) は(1)より27で割り切れるので、は、27で割り切れます。mを自然数、として、 27の倍数と27の倍数でないものの和の形なので、は27では割り切れません。
以上より、nが27で割り切れることが、が27で割り切れるための必要十分条件であることが示されました。
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