証明の技巧
関連問題
命題
P
:
に対して、
命題:
を命題
P
の
逆
と言う。
命題:
を命題
P
の
裏
と言う。
命題:
の
対偶
と言う。
例
1
.命題:
“
”
⇒
“
”
は真ですが、この命題の逆である命題:
“
”
⇒
“
”
は偽です。
となる
x
は、
は満たしますが、
は満たしません。
例
1
のように、ある命題:
が真であっても、逆:
も真であるとは限りません。
条件
c
を満たすものの集合を
C
,条件
d
を満たすものの集合を
D
として、命題:
が真であるとき
ですが、
だとは限りません。
条件
c
が満たされていて、条件
d
が満たされないようなものがあるとき、つまり、
のときには、集合
の要素
(
右図×点
)
が、逆:
が偽であることの反例になります。
命題:
を証明する場合には、
を示しただけでは証明したことになりません。逆:
も示してはじめて証明したことになります。
例
2
.実数
x
,
y
に対して、
“
”
⇔
“
”
を証明します。
[
証明
]
であるとき、
・・・
(
*
)
ですが、
x
,
y
が実数のとき、
,
より、
(
*
)
の左辺
かつ
(
*
)
の右辺
であって、
に限られます。
逆に、
のとき、
(
証明終
)
全体集合を
U
とします。条件
c
を満たすものの集合を
C
,条件
d
を満たすものの集合を
D
として、命題
P
:
が真であるとき
です。このとき、右図より、
です。ということは、命題:
(
P
の対偶
)
が真だと言うことです。つまり、
“
”
⇔
“
”
命題そのものが証明しづらいときに、その命題の対偶を証明するという方法もあります
(
対偶
参照
)
。
例
3
.
“
正の
整数
n
について、
n
を
5
で割った余りが
2
か
3”
⇒
“
n
は平方数ではない
”
という命題を証明したいとします。
このままの形で証明しようとすると、
または
とおいて証明を始めることになりますが、簡単にはいきません。
もとの命題の対偶は、
“
n
が平方数
”
⇒
“
正の整数
n
について、
n
を
5
で割った余りは
0
か
1
か
4”
です。
これだと、
0
以上の整数
k
と
を用いて、
とおくと、
n
を
5
で割った余りは、
を
5
で割った余りに一致します。
を
5
で割った余りは、
に応じて、
0
,
1
,
4
,
4
,
1
となるので結論が示せました。
対偶を証明することにより、
“
正の整数
n
について、
n
を
5
で割った余りが
2
か
3”
⇒
“
n
は平方数ではない
”
という命題を証明したことになります。
「
“.......
ではない
”
⇒
“........
ではない
”
」という形の命題の証明を考える場合には、対偶を考えるほうが良い場合があります。
“
”
⇔
“
”
を利用した証明法がもう一つあります。
“
”
において、証明すべき結論
d
を否定すると
になるということは、もとの条件
c
と矛盾が生ずると言うことです。
従って、証明すべき結論を否定して、与えられた条件と矛盾するということが導ければ、もとの命題を証明したことになります。
この証明法を
背理法
と言います。
例
4
.
が
無理数
であることを背理法で証明します。
[
証明
]
が有理数だとして、互いに素な自然数
p
,
q
を用いて、
とおけたとします。
分母を払って
2
乗すると、
これは
q
が
2
の倍数であることを意味します。自然数
k
を用いて、
とおくと、
∴
これは
p
が
2
の倍数であることを意味しますが、
p
,
q
が互いに素であることと矛盾します。
ということは、
を既約分数に形に表すことはできないことを意味します。
よって、
は無理数です。
(
証明終
)
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