多面体
各面全て多角形で囲まれている立体図形を
多面体
と言う。多面体のどの一つの面を含む平面に関しても、立体が平面から片側のみに存在する多面体であるとき、
凸多面体
と言う。
オイラーの多面体定理
:凸多面体の頂点の数を
v
,辺の数を
e
,面の数を
f
とするとき、
が成り立つ。
各面は全て正多角形であってかつ各頂点に集まる面の数が全て等しいものを
正多面体
と言う。
正多面体は、正四面体、立方体
(
正六面体
)
、正八面体、正十二面体、正二十面体の
5
種類しかない。
右上図の凸多面体の場合、頂点の数は
,辺の数は
,面の数は
です。
を満たしています。
オイラーの多面体定理を証明してみましょう。
右上図の凸多面体では、面
BCDE
は四角形で他の面は三角形です。
四角形は対角線を引くことにより
2
つの三角形に分割することができます。右上図では、四角形
BCDE
を対角線
CE
により
2
分割できます。また、凸多面体を△
ACE
により
2
分割して、四面体
ABCE
と四面体
ACDE
に分けることができます。
右図のような六角形でも、
1
つの頂点と、この頂点に隣接しない頂点を結ぶことにより、六角形を
4
個の三角形に分割することができます。
右図
(i)
のような凸多面体があったとします。図の黄緑色の面を対角線
CD
で分割して△
ACD
と頂点
B
を結んでできる四面体を取り除くと、右図
(ii)
の黄色い面が現れます。
ここで、△
BED
を含む平面で立体を切ります。この平面は凸多面体の他の辺と交わり、五角形
BEFGD
を作ります。五角錐
C-BEFGD
を取り除くと、右図
(iii)
のピンク色の面が現れます。先に述べたように、五角形
BEFGD
を
3
つの三角形、△
BED
,△
EFD
,△
FGD
に分割することができます。さらに、四面体
BEDH
,四面体
EFDH
,四面体
FGDH
を取り除き、四面体
GIDH
を取り除く、という具合にして行くと、最終的に、
1
個の四面体が残ります。
このようにして、凸多面体を、幾つかの四面体
(
三角錐ですが
)
と多角錐に分割することができます。また、上記の過程を逆にたどることにより、四面体から出発して任意の凸多面体を構成することができます。 ・・・
(
*
)
まず、最初に四面体
ABCD
があったとします。頂点は、
A
,
B
,
C
,
D
の
4
つあります、辺は、
AB
,
BC
,
CD
,
BD
,
AD
の
6
本あります。面の数は、△
ABC
,△
BCD
,△
CDA
,△
ABD
の
4
面あります。オイラーの多面体定理は、
,
,
であって、
となり、四面体
ABCD
では成り立ちます。
ここで、△
ABC
で重なり合うように四面体
ABCE
を貼り合わせ、凸多面体
AEBCD
を作ります。頂点は、点
E
の
1
個増えます。辺の数は、
AE
,
BE
,
CE
の
3
本増えます。面は、△
ABC
が
1
面減り、△
ABE
,△
BCE
,△
ACE
の
3
面増え、結局
2
面増えます。
の変化は、
です。
また、
4
点
A
,
C
,
D
,
E
が同一平面上にあったとすると、四面体を貼り合わせることにより、四角形
ADCE
ができて、面は
1
つ減って
2
つ増え、結局
1
面増えますが、辺は、
AC
が減るので
2
本しか増えません。このときも
の変化は
0
です。
B
,
C
,
D
,
E
が同一平面上、
A
,
D
,
B
,
E
が同一平面上の場合も同様です。
つまり、四面体を貼り合わせても
は変化しません。
これを繰り返すと、凸多面体のどこかの面が多角形になることがあります。
こうしてできた多角形で重なり合うように多角錐を貼り合わせます。
n
を
3
以上の整数として、
n
角形に
n
角錐を貼り合わせて凸多面体を作るとき、頂点の数は
1
増えます。辺の数は
1
個の頂点と
n
角形の頂点を結ぶ
n
本増えます。面の数は、
1
個の頂点のまわりの
n
面が増えて重なり合った
1
面が減るので、
面増えます。
の変化は、
です。つまり、
n
角形の面に
n
角錐を貼り合わせても
は変化しません。
(
*
)
より、凸多面体のいずれかの面として、既にできている三角形、あるいは多角形に、重なり合うように、四面体あるいは多角錐を貼り合わせて任意の凸多面体を構成することができるので、任意の凸多面体の
は四面体のときの
2
のまま変化せず、
です。
(
証明終
)
正多面体について考えます。
n
を
3
以上の整数として、正
n
角形の内角は、中心角
を
n
で割り、これを
から引いて
2
で割り
2
をかけて、
正多面体の
1
つの頂点に集まる
m
個
(
)
の面の内角の和が
以上になることはないので、
∴
,
・・・@
なので、
ですが、
より、
,即ち、
のとき、@より、
・
のとき、正三角形が
f
面あるとして、
f
個の正三角形の辺の総数は
ですが、正多面体では
2
辺ずつが重なり合うので、
本、正多面体の
1
頂点に正三角形の
3
個の頂点が重なるので、
,
オイラーの多面体定理より、
∴
これは正四面体です。
・
のとき、正方形が
f
面あるとして、
,
∴
これは、正六面体、つまり立方体です。
・
のとき、正五角形が
f
面あるとして、
,
∴
これは、正五角形
12
面からなる正十二面体です。
のとき、@より、
,
に限られます。
・正三角形が
f
面あるとして、
,正多面体の
1
頂点に正三角形の
4
個の頂点が重なるので、
∴
これは、正三角形
8
面からなる正八面体です。
のとき、@より、
,
に限られます。
・正三角形が
f
面あるとして、
,正多面体の
1
頂点に正三角形の
5
個の頂点が重なるので、
∴
これは、正三角形
20
面からなる正二十面体です。
以上より、正多面体は、正四面体、立方体、、正八面体、正十二面体、正二十面体の
5
種類に限られます。
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