京都大学理系2009年数学入試問題

[1]
 次の各問にそれぞれ答えよ。
1 正の数aに対してxyz空間でOABCDEFGを頂点とする直方体OABC-DEFGを考える。Dを通り、3つの頂点OEGを含む平面に垂直な直線が辺BC(両端を含む)と点Pで交わるとき、aの値とPの座標を求めよ。
2 白球と赤球の入った袋から2個の球を同時に取り出すゲームを考える。取り出した2球がともに白球ならば「成功」でゲームを終了し、そうでないときは「失敗」とし、取り出した2球に赤球を1個加えた3個の球を袋にもどしてゲームを続けるものとする。最初に白球が2個、赤球が1個袋に入っていたとき、回まで失敗しn回目に成功する確率を求めよ。ただしとする。
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[2] 平面上に三角形と点を、に対してが辺に関して対称になるようにとる。の面積がの面積の正の整数倍となるとき、の値を求めよ。
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[3] xyをみたす正の数で、不等式
をみたすとする。このときxyの組の範囲を座標平面上に図示せよ。
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[4] をみたす行列(abcdは実数)とし、正の整数nに対して
によりを定める。ならばすべてのnに対してであることを示せ。
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[5] pを素数、nを正の整数とするとき、pで何回割り切れるか。
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[6] 極方程式 ()で表される曲線の長さを求めよ。
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[1] xyz空間でOABCDEFGを頂点とする直方体OABC-DEFGを考える。辺AEsに内分する点をP,辺CGtに内分する点をQとおく。ただしとする。Dを通り、OPQを含む平面に垂直な直線が線分AC(両端を含む)と交わるようなstのみたす条件を求めよ。
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[2] 平面上の鋭角三角形の内部(辺や頂点は含まない)に点Pをとり、BCPを通る円の中心、CAPを通る円の中心、ABPを通る円の中心とする。このときABCが同一円周上にあるための必要十分条件はPの内心に一致することであることを示せ。
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[3] n枚のカードを積んだヤマがあり、各カードには上から順番に1からnまでの番号がつけられている。ただしとする。このカードの山に対して次の試行を繰り返す。1回の試行では、一番上のカードを取り、山の一番上にもどすか、あるいはいずれかのカードの下に入れるという操作を行う。これらn通りの操作はすべて同じ確率であるとする。n回の試行を終えたとき、最初一番下にあったカード(番号n)が山の一番上にきている確率を求めよ。
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[4]  をみたす行列とする(abcdは実数)。自然数nに対して平面上の点
により定める。の長さが1のとき、すべてのnに対しての長さが1であることを示せ。ここでOは原点である。
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[5] xy平面上で原点を極、x軸の正の部分を始線とする極座標に関して、極方程式 ()により表される曲線をCとする。Cx軸とで囲まれた図形をx軸のまわりに1回転して得られる立体の体積を求めよ。
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[6] abを互いに素、すなわち1以外の公約数を持たない正の整数とし、さらにaは奇数とする。正の整数nに対して整数をみたすように定めるとき、次の(1)(2)を示せ。ただしが無理数であることは証明なしに用いてよい。
(1) は奇数であり、は互いに素である。
(2) すべてのnに対して、は奇数であり、は互いに素である。
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各問検討

[1](解答はこちら) 2009年の甲問題の[1]2007年と同様に、関連のない問1,問2の実質2問になっています。2問になっている分だけ深みのない問題ですが、ここでつまづくようだと大けがになります。問1が空間ベクトル、問2が確率の基本問題ですが、どちらも基礎力のしっかりした受験生でないと正解できません。
来年以降もこうした出題が続くのか予測はできません。どういう出題であっても冷静に対応できるようにしておくべきです。乙問題に比べればラクな甲問題ですが、きちんと正解しようと思うと、全分野にわたる標準的な解法の知識、それなりの計算技術、論理構成力が必要で、決して気を抜くことなく高度な学習に意欲的に取り組んで頂きたいと思います。
本問で言うなら、問
1の空間ベクトルは、あまり見かけないタイプの問題で、空間ベクトルを苦手分野として残してしまうような勉強をしていると不覚をとります。直線のベクトル方程式を持ち出すまでもありませんが、教科書に掲載されている事項についてはもれなく学習するように心がけましょう。問2の確率は、試験会場でも、の場合を別に調べておいて、最終結果でを代入して確認するくらいのことはやってください。確率ではほんのちょっとしたケアレス・ミスが得点的に大きく響くことがあります。


[2](解答はこちら) 問題文が一見複雑そうに見えるのですが、題意さえしっかりとれれば、一本道の問題で、準備のできている受験生であれば、試験会場でも手が止まることなく最終解答にたどりついただろうと思います。
使われている基本事項は、対称移動、
3倍角の公式に、誰でも知っている三角形の面積の公式で、解法的にも、2つの三角形の面積の比を正整数として、正弦の絶対値が1以下という条件で正整数の値を探せばよい、という整数問題としてももっとも単純なタイプです。
仮に
3倍角の公式を覚えていないとしても、

とすれば、試験会場でも即座に導き出せるでしょう。
この問題では、
θ は三角形の内角なのでは明らかですが、の符号は正負ともあり得て、として絶対値をつけるところだけ注意する必要があります。
京都大学を来年目指そうという方
(に限らず難関大学を目指す方)は、まずは、夏頃までに、全分野にわたって、このレベルの問題を必ず解けるように努力してください。他大学においても、このレベルの問題で確実に加点できていれば、これ以上の難問については3題に1題くらいができていれば充分に合格ラインに届きます。難問のうちで自分の得意とする分野の問題をものにできれば良いのです。逆に言うと、このレベルの問題でミスしてしまうと致命傷になってしまうので、標準問題でミスをしないようにトレーニングを積んでおいてください。


[3](解答はこちら) 数学Uの対数の分野の基礎知識を問う問題で、頻出分野とは言えないだけに、底が1より大きいか小さいかで真数の大小と対数の大小が同じだったり逆になったりすること、底が異なる項が混じるときにまず底を揃えるという基本操作をできるか、それに、複雑な不等式の処理、そうしたことを丁寧に行えるかどうか、平易ではあっても意外な落とし穴にはまりやすい問題です。
こうした問題が出題される、ということはどういうことか、と言うと、難関大学受験生は、高校数学の全分野にわたってしっかりと勉強しておかなくてはいけない、ということです。確率は嫌いだ、ベクトルには見向きもしない、ということでは、難関大制覇は無理です。重箱の隅をつつくような些末なテーマの問題であっても、それ相応に対応ができるように準備を進めて頂きたいと思います。
解答では、底を
xに揃えましたが、の符号が正負ともありうるので、気軽にをかけて分母を払うことができません(分母を払うのであれば、で場合分けする必要があります)。これが嫌であれば、底を10にして、とすることになりますが、底の変換の必要な項の数が増えるわりには、不等式の複雑さは緩和されません。ただし、扱いやすくはなります。
また、のときに、であってもですが、ではなくなので、錯覚しないように充分注意してください。そういう意味では、本問は、標準レベルではあっても得点しにくい問題と言えます。
もう一つ注意したいことは、過去問をチェックすることは重要なのですが、
2009年に対数が出題されたからと言って、2010年以降の入試で「対数」が重要テーマだとは言えない、むしろ、「対数」の出題確率は下がった、ということです。次の入試の出題予測をするのであれば、5年〜10年にわたって出題されて来なかったテーマが重要なのです。過去問の出題分野の比率などをごていねい調べている参考書・問題集を見かけますが、全くナンセンスなことをやっているので、そうしたものに惑わされないように注意してください。


[4](解答はこちら) 若干問題文が異なりますが、実質的に、[4]と同じ問題なので、検討についても、[4]検討を参照してください。本問は、甲問題を解く受験生にはやや酷な気がします。


[5](解答はこちら) 本問と同一テーマの問題は、過去にも、東工大'91年前期[1],東工大'07年前期[1]などに見られます。こうした問題の経験があれば、本問を確実に得点に結びつけることができたと思いますが、初体験だと、p2回割り切れ、p3回割り切れる、ということを見落として、誤答する危険性の高い問題です。易しい問題だけに、経験の有無が合格不合格に大きく響いてしまい、この問題を落としたために涙を飲んだ受験生も多いだろうと思います。そうした意味で、例えば、(1)として、2で何回割り切れるか、とか、3で何回割り切れるか、というような、ミスに気づかせる設問を入れておくような配慮が欲しかったと思います。
逆に言うと、京大では、誘導を設けない出題形式が多く見られるので、受験生が自分でミスの危険性に気づくようになっていて欲しいのです。本文で言えば、簡単だな、と感じても、実際にとして、を調べてみれば、どういうことに注意して考えて行くべきか、すぐにわかり、落とし穴にもはまらずに解答できるはずです。
最近、他の論文の転用をした論文であることが発覚した、などという不祥事の他に、論文を書く際の基礎実験に誤りがあって論文を撤回した、などというニュースも流れています。研究者として、論文を書く際に、データや計算や論理展開に誤りがないか充分にチェックする意識が身についているかどうか、というようなことまで問われているのです。
受験生の一人一人が、ミスをしないような考え方・計算方法、ミスに気づきやすいチェック方法、などを自分の性格に応じて日頃から考えておく必要がある、ということです。



[6](解答はこちら) 曲線の長さの定積分は、2009年の時点においては、高校の範囲外ですが、京大の場合には予告されていたので、準備していた受験生が多かっただろうと思います。「平面の方程式」とは違い、曲線の長さは公式二つ(陽関数表示の場合と媒介変数表示の場合)を覚えるだけのことで、これを高校の範囲から削除したところで、受験生の負担が軽くなるわけではありません。特に、物理系・電子系の学部を目指す受験生は、大学に進んで物理を学ぶときに、線素、面素などに面食らわないように早いうちから曲線の長さを知っておくことには意味があります。
この問題は、甲問題ということもあって親切に半周分の長さを聞いてくれているので、積分計算に引っかかるところはありませんが、仮に一周分
()の長さを聞いている場合、うかつに、
と計算してしまうと、おかしなことになるので注意してください。という原則に従って被積分関数に絶対値記号をつけ、積分区間を分けて絶対値記号を外し、


と計算しなくてはいけません。
また、本問のように、極方程式:で表される曲線の長さについては、媒介変数表示が、

と与えられるので、
より、

 ・・・()
となります。これをあらかじめ答案上で導出しておいて、ここで、
として、
とする方が計算がラクにすみます。頻出というわけではないので、()を覚えてもあまりメリットはありません。のままで計算してあとで代入する方がよいと思っていれば充分です。


[1](解答はこちら) 2009年度の京大理系数学乙問題は、2008年度よりもやや難しくなった気がしますが、この問題だけは昨年と同程度のレベルなので、確実に得点しておきたい問題です。
本問は直線のベクトル方程式と空間における
2直線の位置関係を扱う問題で、必要な基礎事項は、ベクトル方程式と内積計算程度です。交点が線分上に存在するということで、連立方程式が解を有する、というだけでなく、ある範囲に解を有する、ということを忘れずに考察しなければいけません。ここを注意すれば、よく勉強してきた受験生であれば何でもないウォーミング・アップ問題だと思います。2009年度入試の場合は、最初にこの問題で調子をつけて波に乗りたいところです。


[2](解答はこちら) 雑誌「大学への数学」に掲載されている受験報告によると、2009年度京大数学の乙問題の中では、この問題の出来が一番悪いようです。平面幾何の論証問題でかなり複雑な状況が想定されているので、試験会場で泥沼にハマってしまった受験生も多いと思います。
この問題では、かなりの受験生が次のように考えて行ったのではないか、と想像されます。
ABCが同一円周上であることから、同一弧上の円周角は等しいとして、,また、となる二等辺三角形であることから、,よって、であり、の二等分線、これでできた!と、歓喜するものの、P上に来ることがなかなか言えずにぬか喜び、ハマり込んだ末に背筋を冷や汗が流れる、ということになったのではないでしょうか。
P上に来ることを言うためには、πになることを言えば良いのですが、点Pの周囲の角が、などとうまく結びつかず苦労します。状況が複雑なだけに堂々巡りに陥るかも知れません。
論証問題で行き詰まってしまったときの対処法は二つ考えられます。
一つは、行き詰まっている原因、これが言えないから証明が先に進まないことがらが、仮に言えたと仮定して先に進み、中間点狙いで妥協すること。
もう一つは、あくまで完答を目指して論証の方針を転換することです。
後者については、方針を転換する際に、必ず、じっくりと問題文を検討し直すべきです。論証が行き詰まる、ということは、行き詰まるだけの理由があるのです。見落としている条件があるか、隠れている条件があるのです。本問では、「
BCPを通る円の中心」などとする条件設定を見落としやすいので、ここを再検討します。これはが三角形BCPの外心であることを意味します。外心は三角形の各辺の垂直二等分線の交点です。このポイントに気づけば、PBの垂直二等分線とPCの垂直二等分線の交点がであり、PBの垂直二等分線とPAの垂直二等分線の交点がであることをうまく使えないか、ということになります。
Pの周囲の角をいじっていてもうまく行きませんが、点Pの周囲の角をいじっているうちに、に気づければ、垂直二等分線となす角に着目して円周角の性質を利用することも見えてくると思います。
ハマり込んでいるときには、どうしても視野狭窄を起こしがちです。試験会場では、一度大きく深呼吸をして頭を切り換え、問題全体への視野を広げる努力をするようにしましょう。



[3](解答はこちら) 確率の問題としては比較的取り組みやすい問題で、実際の入試でも正答率はかなり高いようなのですが、きちんと論述しようとすると、説明の仕方を考えるのに苦労する問題です。また、きちんと論述するにしても、わかりやすい説明をすることが難しい問題です。
解答では、「番号
nのカードが上からk枚目の位置にあるとき」などと言っても抽象的でわかりにくいので、の場合にどうなるかを文字色を変えて付記しました。最初から、nkなどの文字を使って考えることのできる人はそれで良いですが、どうしても、ピンと来ない、という人は、6枚のカードがあって番号6のカードが上から3枚目の位置にあるときにはどうか、という見方をするようにしましょう。遠回りにはなりますが、答案を作成するときに、6nに変え、3kに変えればよいのです。
こうして、具体的に数値をあてはめて問題を考えておき、答案を作成する段階で、問題文に合わせて一般化する、という手法は、入試会場においても有効な手法です。最初から一般化して考える方が考えやすい、というときもあると思いますが、「
n通りの位置から通りの位置を選ぶ」と言っても、スンナリ理解できる場合ばかりとは限りません。ムダな時間を使うことに抵抗感もあると思いますが、模試を受ける段階からぜひ試して頂きたいと思います。
思うに、問題のレベルがかなり高く正答率が低い場合には、具体的に数値をあてはめて検討した内容も、答案用紙に書いておくと、案外、プラス点をもらえるのではないか、という気がします。ほとんどの答案を零点にして比較ができなくなるのであれば、問題に取り組む姿勢だけでもプラスに評価しよう、ということになるかも知れません。
本問では、かなり簡略な説明でも途中の式と最終解答が正しければ満点がもらえるだろうし、逆に、途中の式や最終解答にミスがある場合には、具体的な検討を答案に書いてもプラス評価はないかも知れませんが、抽象的な問題でうまく答案が書けない場合には、具体的な検討内容も答案用紙に残しておくことをおススメします。



[4](解答はこちら) 直交変換を題材とした問題で、当ウェブサイトの直交変換の記述を読んでいれば、言い方は違っていてもほとんどそのまま出題されているので、困ることはなかっただろうと思います。ですが、恐らく入試会場では、初見の受験生は難航したことでしょう。
'07年乙[6]の微分方程式もどきの問題でもそうですが、京大では、高校の範囲からやや逸脱したテーマの問題も散見されます。本問の直交変換も、大学の教養課程の「線形代数」の教科書に出てくる内容なので、大学入試以外のことには目もくれず、ということでなく、大学に進学したらどんなことをやるのだろう、というような感覚で、大学生向けの数学や物理の本にも目を通しておいてもらえると、本問のような問題にも手が着く、ということが言えます。
例えば、
2次方程式の理論は、3項間漸化式にもちょっと顔を出しますが、線形2階微分方程式:において、特性方程式:(3項間漸化式との間に関連性があります)は、微分方程式の解となる関数の挙動に大きな影響を与えるので、高校の範囲だけで見ていると味気ない2次方程式も、先に行ってこんなところで活躍するんだ、ということがわかれば、勉強する意欲も違ってくるのです。
行列では、直交変換だけでなく、固有値・固有ベクトル、ハミルトン・ケーリーの定理、基本変形、逆行列の一般論、スペクトル分解、など、大学の内容をある程度知っておいた方が、入試でも役立つ項目が多々あります。実は、こうしたことは、数学・物理全般について言えます。もちろん、先で習得する内容なので、すべてを理解することは難しいと思いますが、かじってみるだけでも意味があります。先に出てくる内容をある程度知った上で、高校数学・高校物理の基礎をしっかり固めておくとよいのです。
行列を対角成分に関して対称な位置同士で入れ替えてできる行列を転置行列と言います。直交変換を表す行列を直交行列と言いますが、直交行列では逆行列が転置行列になります。このことを利用して、のような
xy2次式の最大最小問題を簡単に解く技巧を考えることができます(座標回転して2次曲線の標準形に持ち込むことに相当する)が、入試問題でも出題されています。直交行列によって実対称行列(転置行列が元の行列と一致する行列)を対角化できる、という直交行列の背景がわかっていると、こうした技巧も意味がわかって使えるので、問題をスムーズに考えることができるようになります。
難関大学を目指す皆さんは、ぜひ、好奇心を広く持って幅広い観点から入試問題を眺められるようにして頂きたいと思います。



[5](解答はこちら) 極座標を使って表されている曲線を回転させたときの体積と言っても、角θ を媒介変数としてxyを表せば、単なる微積の計算問題でしかありません。本問では回転体にくりぬける部分もできずxの範囲を調べてその範囲で積分するだけです。多少面倒ですが、複雑な計算技巧を使う部分もありません。
とは言っても、試験場での高揚感の中でなかなかこうした問題をミスなく計算すること自体が難しいものです。を微分したときのマイナスを忘れたり、定積分の上端と下端を入れ替えるときのマイナスを忘れたり、単なる展開をミスしたり、試験が終わってから、なぜ、と自分を詰問したくなるようなミスをやってしまいがちです。
難関大学でも、必ず
1題はこうした微積の計算問題、特に考えることもなく、ただひたすら手を動かして計算するのみ、という問題を出題しています。そして、合格するためには、こうした問題をミスなく計算することが必須なのです。
数学的思考力・創造力を試すとは思えないような微積の計算問題が出題されてしまうからには、受験生もしっかりそれに対策をしておく必要があります。ぶっつけ本番で正確な計算を迅速にやろうとしても無理というものです。
各学校で配布される標準問題集で構いません。微分して増減表を書いて最大値・最小値を求めるだけ、あるいはグラフを描くだけ、また、置換積分や部分積分を使う面積計算、体積計算の問題を何度も繰り返して練習しておきましょう。できれば、時間を測って、どれくらいの時間で正解に達するか、その進歩の具合をチェックするようにして、何度も繰り返して計算することへのインセンティブを自分でつけるように工夫しましょう。数学的な思考力を磨くことも大切ですが、基礎体力となる微積の計算力向上もまた難関大学突破の必要条件です。



[6](解答はこちら) 京大では頻出の、漸化式をからめた整数問題ですが、この問題は、京大の問題としても難問です。雑誌「大学への数学」に掲載されている受験報告では、(2)を完答できた受験生はゼロで、本ウェブサイトの解答の中で途中で行き詰まるポイントがあると書いたように、の連立漸化式からが奇数であることのみ証明し、が互いに素になることの証明を断念してしまった受験生がほとんどのようです。
本ウェブサイトでは、連立漸化式だけでは条件不足になるので、数学的帰納法の枠組みを変え、前
2つを仮定して次を証明する形にして、条件不足を補うように工夫しました。この証明に合わせて3項間漸化式を作りましたが、3項間漸化式を作るのに技巧が必要なので、連立漸化式を2段組み合わせて、からへ、からへ、というようにして条件を2つ作る考え方も可能です。また、「大学への数学」の解では、



を利用し、
(1)abと見ることにより、が互いに素となることを帰納法で示し、連立漸化式を1段使うだけで証明する方法が紹介されています。参考にしてください。個人的には、この問題を解くのに合理的な考え方であっても、一般的に広く使えるようには思えないので、3項間漸化式を用いて証明する方法を取りたいと思います。もちろん、ケース・バイ・ケースで最善の方法を考える、というのも大切なことですが。
本問では、ほとんどの受験生が途中挫折してしまっているようなので、試験会場では、本問
(2)が奇数になることの証明のみでやめておくのが賢明な選択なのかも知れませんが、東大'09年前期[6]とは違って、絶対に無理、という問題ではないので、時間的余裕があるのであれば、取り組んで頂きたいと思います。



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